精密板金とは
【目次】
1. 精密板金とは

精密板金とは、高い加工精度が求められる金属部品や筐体を製作する板金加工技術です。レーザー加工、曲げ加工、溶接などを組み合わせることで、複雑な形状や高精度な製品を、小~中ロットでも効率よく製作できます。
医療機器、食品機器、半導体装置、光学機器など、高い寸法精度や品質が求められる製品に幅広く採用されています。また、専用金型を必要としない加工方法を活用できるため、試作や多品種少量生産ではコストや納期を抑えやすいことも特徴です。
一方で、大量生産ではプレス加工が適しているケースもあり、生産数量や製品形状に応じて最適な加工方法を選択することが重要です。
本ページでは、精密板金の特徴や一般的な板金加工との違い、加工方法、使用設備、工程、コストダウンのポイントまで詳しく解説します。
2. 精密板金と板金の違い
板金加工は、以下のように分類することができます。
- ・自動車板金
- ・建築板金
- ・工場板金
自動車板金
一般的に自動車板金での加工は打ちだし板金やたたき板金と呼ばれます。自動車のボディーのキズや凹みを修理するときに行われる自動車板金加工では、精密板金と同じように金属の板を曲げ・溶接などの加工を施しますが、ボディーの凹みを叩いたり、パテを使って細かい凹凸を修正したりすることが主な加工です。
建築板金
金属板を曲げる加工・延ばす加工を施し、主に屋根・外壁・雨といなど住宅の外装に関する製品を製作します。
外観やデザイン性が重視されるため、美的センスや繊細な加工技術が求められます。
工場板金
一般的にスマートフォンや家電製品の筐体など、私たちの日常で頻繁に目にするものは工場板金によって製作されています。
主に工場で板金加工を施していることから工場板金と呼ばれています。
精密板金は工場板金に分類されます。
工場板金の中でも、上述したような医療機器や半導体、光学機器など、高い加工精度が求められる製品は精密板金加工によって製作されます。
また、精密板金は、プレス機・レーザー加工機・ターレットパンチプレスなどの専用設備を用いて加工することも特徴です。
精密板金とよく比較される技術がプレス板金です。プレス板金は、製作する部品に合わせて専用の金型を製作し、成形する板金加工です。一度金型を製作すれば、複雑な形状でも精度のばらつきが少なく、大量生産に適しています。一方で、金型の製作には4~6週間程度の納期と数十万~数百万円の費用がかかります。対して精密板金は、プレス板金より精度面ではやや劣る場合があるものの、短納期・低イニシャルコストで製作できるため、小ロット品や試作・開発段階の製作に適しています。
このように、精密板金は他の板金加工とは異なる特徴を持つため、対応できる設備や技術を持つ企業は限られます。
3. 精密板金が活躍する様々な業界
精密板金によって加工された製品は、様々な業界で使用されています。
例えば、会社や工場で使用されているロッカーなどの箱物は、一枚の板材に精密板金加工を施して製作されています。使用される材質はステンレス・アルミ・鉄などが多く、使用される環境や用途に応じて最適な材料が選定されています。
例えば、ステンレスは医療機器・食品機械・半導体製造装置など、耐食性や衛生性が求められる分野で多く用いられます。一方、鉄系材料は一般家電・OA製品・工作機械などの産業機械で多く採用されています。
また、アルミは軽量かつ高い剛性を持つ特徴から、航空機や人工衛星などの航空宇宙分野でも採用される事例が増えています。
医療機器
食品
エネルギー・半導体
光学機器・OA機器
その他
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4. 精密板金における様々な加工方法
精密板金加工では、鉄やステンレス、アルミなどの金属・非鉄金属の一枚の板から製品を立体的に作り上げます。
そのため、目的とする形状に仕上げるための加工方法は、大きく「抜き加工」「曲げ加工」「溶接加工」「組立」の4つに分類することができます。
これらの加工は、下記で説明するような様々な設備を用いて行われます。
4-1. 抜き加工とは?
抜き(ブランク)加工とは、レーザーや汎用金型を使って金属板から任意の形状を抜き落とす加工です。
レーザーを使う機械をレーザー加工機、汎用金型を使う機械をターレットパンチプレスと呼び、用途に応じて使い分けます。また近年では、レーザーと汎用金型の両方に対応できる複合加工機も普及しています。
レーザー加工
レーザー加工はファイバーレーザー加工とCO2レーザー加工の2種類があり、レーザーは主に外形や大きな穴の抜き落としに使用され、レーザーの熱で金属を溶かして切断します。
ファイバーレーザーは、光ファイバーを使用した加工精度と加工速度が特徴のレーザー加工です。
近年レーザー加工の主流となっています。
対してCO2レーザーは、その名の通り炭酸ガス(CO2)を使用したレーザーです。加工精度や加工速度はファイバーレーザーに劣りますが、機械本体の安さが特徴です。
汎用金型を使った加工
汎用金型は主に小さな穴の抜き落としに使用され、パンチとダイで挟み込んで金属を切断します。汎用金型による抜き加工は、レーザーに比べて切断面の美しさが特徴。レーザーでは切断面に焼けた跡が残ってしまうのに対し、金型では切断面の美しい抜き加工が可能です。
汎用金型では、ターレットパンチプレス(タレパン)と呼ばれる機械で加工を行います。タレパンは円盤状のターレットに金型を装着後、作業台に載せた材料を金型で加工。さらにタレパンには複数の金型を同時に装着できるため、形状の異なる穴がある場合でも一度に加工できます。穴の位置や個数は、レーザーと同様に事前に段取りしたプログラムで制御するため、材料を載せた後は自動で加工が行われます。
複合加工機での加工
さらに近年では、レーザーと汎用金型を使った抜き加工を同時にできる複合加工機も登場しました。複合加工機もレーザー加工機やタレパンと同様にプログラムで制御できるため、材料を載せてからは自動で加工が可能です。また当社が保有している複合加工機LC-2012C1NTでは、レーザーと汎用金型を使った抜き加工だけでなくネジ穴を空けるタップ加工も同時に加工可能。標準的なねじの規格であるM1~M6までのタップ加工と、バーリングと呼ばれる穴の周辺を立ち上げる加工が可能です。
当社の複合加工機では、抜き加工だけでなくタップ加工やバーリング加工まで同時に加工可能です。工数削減により、コストダウンや納期の短縮が可能です。
4-2. 曲げ加工とは?
曲げ加工とは、金属板に高重量の圧力をかけて90度や45度に曲げる加工で、ベンディング加工とも呼ばれます。
曲げ加工ではプレスブレーキと呼ばれる機械で、金型を使って金属を加工します。
またプレスブレーキには使用する金型や曲げ方に種類があり、一般的な角度曲げそれらを駆使して曲面上に曲げるR曲げや、折り畳むように曲げるヘミング曲げなどの成形が可能です。
さらに当社では、幅広いサイズの曲げ加工に対応可能。サイズの異なる5台のプレスブレーキを保有し、1cmの小型の製品から3mの大型の製品まで曲げ加工が出来ます。
角度曲げ
精密板金の最も一般的な曲げ加工が、金属板を90度や45度に曲げる加工。パンチとダイで金属板を挟み、少しずつパンチを下げて金属板をV字に曲げ、任意の角度に成形します。そして正確に曲げるために重要なのが、パンチを下げる距離の見極め。しかし曲がる角度とパンチを下げる距離の関係は、金属の種類と厚みで一意には定まりません。実は同じ金属でも材料ごとに、合金の含有物の割合の違いや場所ごとの偏りが存在し、これがパンチを下げる距離に影響します。そのため曲げ加工は機械による自動化が難しく、当社でも製品1つ1つを職人の手で加工しています。
R曲げ
R曲げは金属板を曲面上に曲げる加工。R曲げは安全性やデザイン性を目的に、箱型製品の角を丸めるためによく利用されます。R曲げをする方法は、先端が丸いR曲げ用の金型を使用する方法と位置をずらしながら数度ずつ曲げていく方法の2種類。通常は、半径の小さなR曲げではR曲げ用の金型を使用する方法が、半径の大きなR曲げでは位置をずらしながら数度ずつ曲げていく方法が採用されます。
ヘミング曲げ
ヘミング曲げは金属板を折り畳むように曲げる加工。折り畳むことにより切断面を隠せる安全性や厚みを2倍に出来る強度などを目的に利用されます。ヘミング曲げは、金属板を鋭角に曲げる工程と、鋭角に曲げた部分を押しつぶす工程の2工程で加工。鋭角に曲げる工程では先の尖ったパンチを、押しつぶす工程では先が平らなパンチを使用します。
4-3. 溶接加工とは?
溶接加工は熱などで金属を溶かし、金属同士を接合する加工です。溶接加工には多くの種類があり、大きく分けると融接・圧接・ろう接の3つ。さらに、融接の中にはTIG溶接やレーザー溶接、圧接の中にはスポット溶接など、様々な溶接法が含まれています。
アルミ溶接加工事例
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アルミ溶接加工品(TIG溶接)
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アルミ溶接カバー(t1.0mm)
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アルミ筐体(t=2.0mm)
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アルミ薄板溶接(溶接仕上げレス)
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アルミ薄板筐体(t=1.5mm)
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アルミ溶接カバー(黒アルマイト仕上げ)
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アルミ薄板溶接カバー
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アルミ溶接フレーム
>>アルミの溶接専用サイトはこちら
融接
融接は溶接する金属の溶接部分を熱で溶かして接合する溶接。融接は熱の発生方法で種類が分かれ、気体中の放電現象を利用するのがアーク溶接、レーザーの熱を利用するのがレーザー溶接です。
・TIG溶接
気体中の放電現象を利用するアーク溶接の中で、代表的な溶接方法がTIG溶接です。
TIG溶接は、タングステンを使ったアーク溶接です。TIG溶接は、ほとんどの金属を溶接できる点が特徴。鉄・ステンレス・アルミなどの使用頻度の高い金属から、銅・チタンなどの使用頻度の少ない金属まで溶接可能です。
・ファイバーレーザー溶接
レーザー光線の熱を利用するレーザー溶接の中で、代表的な溶接方法がファイバーレーザー溶接です。
ファイバーレーザー溶接は、光ファイバーを使ったレーザー溶接です。ファイバーレーザー溶接は、溶接熱による歪みの少なさが特徴。一般に板厚の薄い材料やアルミなどの熱に弱い材料を溶接すると、溶接の熱によって歪みが発生します。しかしファイバーレーザー溶接では、溶接箇所に短時間で集中的に熱を加えることが可能。溶接する金属に余分な熱を与えないため、歪みの少ない溶接ができます。
・Co2レーザー溶接
Co2レーザー溶接とは、「炭酸ガスレーザー溶接」とも呼ばれ、レーザー溶接の中でも、ごく一般的に使用されている溶接の種類になります。CO2レーザ溶接は、装置の高出力化が比較的容易であり、連続発振で中厚板までの溶接加工に使用されています。10.6μmという長波長を出力することが可能なため、狭い範囲で深く溶け込む溶接が行えることから、作業効率よく溶接を行えることが特徴的です。
圧接
圧接は溶接する金属の溶接部分に圧力と熱を加えて接合する溶接。圧接は、圧力と熱を加える方法で種類が分かれ、中でも代表的な方法が電流で熱を発生させるスポット溶接です。
スポット溶接は、電流で発生する熱を利用した溶接。スポット溶接では、溶接する金属同士を電極で挟み圧力を加え、電流を流した時に発生する熱で溶接します。スポット溶接の特徴は、溶接速度の速さ。溶接箇所が線ではなく、点のため短時間で溶接が可能です。
4-4. 精密板金との違いに注意!プレス加工
また、精密板金とよく間違われやすい加工方法にプレス加工があります。
プレス加工も精密板金加工と同様に金属板を加工しますが、使用する金型や加工方法に大きな違いがあります。
プレス加工は専用金型を使用した大量生産に適している一方、精密板金加工では汎用金型やレーザー加工機、ターレットパンチプレス、プレスブレーキなどを活用し、小ロットや試作に対応できます。
このように、精密板金は製品ごとに適した設備や加工方法を組み合わせて製作するため、試作や多品種少量生産に適した加工方法です。
5. 精密板金で使用される様々な加工機器
精密板金加工では、金属板に対して「抜き加工」「曲げ加工」「溶接加工」「組立」などの工程を行うため、さまざまな加工設備が必要になります。
主な加工機器として、抜き加工に使用するレーザー加工機やターレットパンチプレス、曲げ加工に使用するプレスブレーキ(ベンダー)、溶接加工に使用する溶接機などがあります。
5-1. レーザー加工機
レーザー加工機は、レーザー光線を金属板の切断したい部分に照射し、局所的に金属を溶融させて切断する加工機です。溶融した部分にはアシストガスを噴射し、溶けた金属を吹き飛ばすことで切断を行います。
レーザー加工機は材料に直接触れることなく加工できるため、複雑な形状の加工や、ステンレスなどの精密板金で多く使用される材料の加工に適しています。また、厚みのある鋼板の切断にも対応可能です。
高い加工精度や切断面の美しさが特徴であり、精密板金加工において重要な役割を担っています。
■パンチ・レーザー複合機 LC2515の紹介動画
5-2. ターレットパンチプレス
ターレットパンチプレスは、複数の金型を取り付け、NC制御によって金属板の抜き加工を行う加工機です。
加工したい穴の形状に合った金型を使用することで、一度の加工で穴あけが可能です。異なる形状の場合でも、汎用金型を組み合わせて加工することで、目的の形状に仕上げることができます。
レーザー加工機と比較すると、穴あけ加工を短時間で行える点が特徴です。
また、カス上がりレス加工・ファインコンタリング加工・高速バリつぶし加工・スロッティング加工・高速成形加工など、さまざまな加工方法を活用しながら抜き加工(ブランク加工)を行います。
5-3. プレスブレーキ(ベンダー)
プレスブレーキ(ベンダー)は、抜き加工によって切り出した金属板を曲げるための加工機です。
下型・ダイと呼ばれる金型を固定し、上型・パンチを上下に動かして金属板へ圧力を加えることで、目的の形状へ成形します。
加圧する力や使用する金型の組み合わせによって、さまざまな形状の曲げ加工が可能です。
ただし、製品形状によっては金型が干渉し加工できない場合もあるため、設計段階から曲げ加工を考慮することが重要です。
■ベンディングマシン HD‐NTシリーズの紹介動画
5-4. 溶接機
溶接機は、複数の金属部品を接合するために使用する加工機です。
溶接機には、TIG溶接機、CO2溶接機、スポット溶接機などさまざまな種類があり、材質や板厚、製品の用途に応じて適切な機器を選択します。
例えば、鉄の溶接ではCO2溶接、ステンレスの溶接ではTIG溶接が多く使用されるなど、材料ごとに適した溶接方法があります。
高品質な精密板金加工を行うためには、材質や板厚を考慮した溶接設備の選定が重要です。
■ファイバーレーザー溶接機の紹介動画
6. 精密板金加工の工程
精密板金加工の工程は、製品の形状や用途によって異なりますが、一般的には以下のような流れで加工を行います。
- 1.抜き加工(ブランク加工):レーザー加工機などを使用し、金属板から任意の形状を切り出す工程
- 2.バリ取り:抜き加工によって金属の切断面に発生したバリ(トゲ状の突起)を除去する工程
- 3.曲げ加工(ベンディング加工):プレスブレーキなどを使用し、金属板に圧力を加えて目的の形状へ曲げる工程
- 4.溶接加工:熱などを利用して金属同士を接合する工程
- 5.検査:寸法や外観などを確認し、製品品質を確認する工程
また、製品によってはタップ加工によるネジ穴の加工や、メッキ・塗装などの表面処理を行う場合もあります。
なお、精密板金における「精密」とは、製品サイズが小さいという意味ではなく、高い加工精度が求められる板金加工であることを示しています。
自動車板金や建築板金と比較して、より厳しい寸法精度や品質管理が求められることから「精密板金」と呼ばれています。
7. 精密板金のコストダウン方法とVA・VE事例
精密板金加工における製品コストは、材料費・加工費・組立費・金型などの初期費用といった様々な要素によって決まります。
そのため、製品の設計段階から加工方法や材料、組立性を考慮することで、品質を維持しながらコストダウンを実現することが可能です。
精密板金加工における主なコストダウンのポイントは、以下の4つです。
- ・イニシャルコストの削減
- ・材料選定の見直し
- ・加工方法の最適化
- ・組立性を考慮した設計
また、製品の品質や性能を維持・向上させながらコスト削減を行う手法として、VA・VEがあります。設計や加工方法を見直すことで、無駄な工程や材料使用量を削減し、より効率的な製品づくりにつなげることができます。
7-1. イニシャルコストを抑える
精密板金加工では、一般的な曲げ加工や溶接加工において専用金型を必要としないため、プレス加工と比較して初期費用を抑えることができます。
一方で、絞り加工など特殊な成形を行う場合には専用金型が必要となり、大きなイニシャルコストが発生する場合があります。
そのような場合は、金型を使用せず成形を行うダイレスフォーミングなどの加工方法を採用することで、金型費用を削減できます。
特に、複雑な形状の試作品や小ロット生産では、金型製作費が製品単価に大きく影響するため、金型レスで加工できる方法を検討することがコストダウンにつながります。
>>ダイレスフォーミングとは?
7-2. 材料選定によるコストダウン
精密板金で使用される材料には、主に鋼鉄・ステンレス鋼・アルミニウム合金があります。
材料はそれぞれ特徴が異なるため、必要以上に高性能な材料を選択するとコストアップにつながります。製品の使用環境や必要な性能を考慮し、適切な材料を選定することが重要です。
鋼鉄
鋼鉄は精密板金で最も多く使用される材料の一つで、ステンレスやアルミと比較して材料費が安いことが特徴です。
代表的な材料として、冷間圧延鋼板(SPCC)や電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)があります。
SPCCは加工性に優れ、低コストで使用できる材料です。ただし錆びやすいため、用途によっては塗装やメッキなどの表面処理が必要になります。
SECCはSPCCに亜鉛メッキを施した材料で、耐食性に優れています。また表面が均一で塗装性にも優れているため、筐体やカバー部品などで多く使用されています。
ステンレス鋼
ステンレス鋼は耐食性に優れ、錆びにくいことが大きな特徴です。食品機械や医療機器など、衛生性や耐久性が求められる製品に多く使用されています。
精密板金ではSUS304やSUS430が代表的な材料です。
SUS304は耐食性・強度・加工性に優れ、幅広い用途で使用されています。一方、SUS430はSUS304よりも材料コストを抑えることができるため、要求性能を満たせる場合は材料変更によるコストダウンが可能です。
アルミニウム合金
アルミニウム合金は鉄やステンレスと比較して軽量であることが特徴です。軽量化が求められる装置部品や航空宇宙分野などで使用されています。
精密板金でよく使用される材料としてA5052Pがあり、強度・耐食性・加工性のバランスに優れています。
ただし、アルミは溶接時に歪みが発生しやすいため、加工方法を考慮した設計が重要です。
精密板金の材料選定では、単純に材料単価だけを見るのではなく、加工性や表面処理、使用環境まで考慮する必要があります。
例えば、錆対策が不要な環境であればステンレスから鉄へ変更する、必要性能を満たせる場合はSUS304からSUS430へ変更するなど、用途に応じた材料選定によってコストダウンが可能です。
また、材料には定尺と呼ばれる標準サイズがあるため、材料取りを考慮した設計を行うことで材料ロスを削減できます。
7-3. 加工方法を見直す
精密板金加工では、曲げ・溶接などの加工方法によって製造コストが変化します。
例えば、溶接箇所が多い設計や複雑な仕上げが必要な構造では、加工時間が増加しコストアップにつながります。
そのため、可能な限り曲げ加工のみで成形できる構造にする、溶接箇所を減らす、標準的な加工方法を採用するといった設計上の工夫が重要です。
加工しやすい形状で設計することは、品質の安定化だけでなく、加工時間短縮によるコストダウンにもつながります。
7-4. 組立性を考慮した設計
精密板金製品では、加工後の組立工程もコストに大きく影響します。
図面上では製作可能な形状でも、実際の組立現場で工具が入らない、部品同士が干渉するなどの問題が発生すると、追加作業が必要となりコストアップにつながります。
そのため、設計段階から組立作業を考慮し、作業しやすい構造にすることが重要です。
加工時間と組立時間を合わせたトータルの作業時間を削減することが、精密板金加工における効果的なコストダウンにつながります。
7-5. VA・VE事例
精密板金加工では、設計や加工方法を見直すことで、品質を維持しながらコスト削減を実現できるケースがあります。
当社では、材料変更・加工工程の削減・溶接方法の変更・組立性の改善など、様々な視点からVA・VE提案を行っています。
下記より精密板金加工における具体的なVA・VE事例をご紹介しておりますので、コストダウンをご検討の方はぜひご覧ください。
VA・VE事例一覧
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(1)小ロットの場合は簡易金型(ダイレスフォーミング)を採用する
【Before】
上記の写真のような丸・四角・長丸などの絞りを行う場合には、通常であれば一度金型を起こす必要があります。このような簡単な形状の絞りでも金型を起こせば50 万円程度のイニシャルコストがかかってしまう為、小…
→解決事例を見る
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(2)簡易金型(ダイレスフォーミング)の採用でコスト低減と納期短縮を行う
【Before】
プレスや板金加工で簡単な絞りを行う際でも、通常であれば金型が必要となります。この金型はパンチとダイに分かれ、合わせて10万円程度となります、小ロットの場合や試作のみ対応する場合はこのイニシャルコストが…
→解決事例を見る
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(7)簡易金型(ダイレスフォーミング)による絞りと追加工によってコストダウンを行う
【Before】
精密板金製品に絞り加工を行なう際には、プレス機、ターレットパンチプレス、あるいは簡易金型(ダイレスフォーミング)を用いて行われます。しかし、板厚が厚かったり、絞りの深さが深い場合には、工法が限られます…
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(1)切削加工からレーザー加工への工法転換でコストダウンを行う
【Before】
単純な形状のワークほど、本当に必要な面粗度を図面に記載することがコストダウンに繋がります。上記の図面ではワークの側面の面粗度が、機械加工を前提とした▽▽(三角ふたつ)の指示が入っています。図面において…
→解決事例を見る
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(1)切削加工から曲げ・溶接加工への工法変換でコストダウンを行う
【Before】
上記は真鍮を使った削り出し品です。真空に近い状態にまで引っ張ること、および強度的な問題からこれまでは真鍮のソリッドから削りだす、いわゆる機械加工品にて設計・製作を行っていました。切削加工は精密な加工が…
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(3)精密板金の信頼性を上げるための板厚と溶接のポイント
【Before】
精密板金において溶接を行う際、板厚が厚い場合は大きな問題になりませんが、例えばステンレスなどひずみやすい材質で、かつ薄板を溶接する場合は1mm 未満の厚さになるとTIG 溶接では高い溶接技術を必要とさ…
→解決事例を見る
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(3)流通性の高い材料、板厚の使用でコストダウンを行う
【Before】
機器を設計するにあたっては、求められる機能から材料を選択することが必要ですが、品質・機能とコストのバランスを取る場合には、材料のコストや入手性も考慮した上で選定を行わないとスムーズな立上げや量産を行な…
→解決事例を見る
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(2)定尺を考慮した設計でコストダウンを行う
【Before】
ステンレスや鉄などの板材は定尺と呼ばれる決まった寸法があり、市場では基本的にはそれが元となり流通しています。たとえばステンレスを使った精密板金の製品を設計する場合、ステンレスはメーター板という1m ご…
→解決事例を見る
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(6)切削加工品を簡易金型(ダイレスフォーミング)による絞り加工で置き換えるポイント
【Before】
切削加工を前提としている部品も、必要な機能を見極めることができれば簡易金型(ダイレスフォーミング)による精密板金製品に置き換えることで大幅なコストダウンを行うことができます。上記は、軸部分に高さが必要…
→解決事例を見る
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(5)金型代を抑えられる寸法許容精度にて設計を行う
【Before】
精密なプレス金型を用いた絞りを行うと、±0.05と非常に高い寸法精度で加工を行なうことが可能です。ところが、絞り加工を行なう精密板金加工品においては、すべてが高精度に加工をする必要がない場合があります…
→解決事例を見る
8. 精密板金VA提案コラム
精密板金のVA提案事例を紹介します
VA提案コラム一覧
9. 精密板金のことならおまかせ下さい!
精密板金とは、金属板に抜き加工・曲げ加工・溶接加工などを施し、高い精度で機械や装置の部品を製作する加工技術です。
一般的な板金加工と比較して高い寸法精度が求められる製品や、医療機器・食品機械・半導体製造装置など、精密な加工が必要な分野で多く活用されています。
また、精密板金は専用金型を必要としない加工方法を活用できるため、試作や小~中ロット生産、複雑な形状の製品製作にも適しています。
さらに当社では、ダイレスフォーミングをはじめとした独自の加工技術を活用し、通常はプレス加工が必要となるような複雑形状の製品でも、金型を使用せず製作することが可能です。
精密板金加工におけるコスト削減や納期短縮、設計段階からの加工方法のご相談など、板金部品に関するお困りごとがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。
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筐体 精密板金
筐体の精密板金における設計のポイント
- 1.溶接、リベット等、最適な結合方法を検討する
- 2.求められる強度を考慮した上で、流通性の高い材料・板厚を使用する
- 3.R 仕上げは「溶接R 仕上げ」を採用する
- 4.ハーフシャー(ダボ)を採用し位置決め時間を低減する
>>詳細はこちら
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ホッパー 精密板金
ホッパー 精密板金の製作・設計のポイント
- 1.高精度な曲げ加工
- 2.歪み・段差を抑えた溶接加工
- 3.3D‐CAD使用によりリードタイムの削減
>>詳細はこちら
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カバー 精密板金
カバー 精密板金 コストダウンのポイント
- 1.TIG・ファイバー・スポット・リベットから最適な結合方法を選択する
- 2.R曲げは、きりの良い数字のRであると、コストダウンにつながる
- 3.板厚はなるべく同じ厚さのものを採用する
- 4.塗装範囲を明確にする
>>詳細はこちら
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タンク 精密板金
タンクの精密板金における設計のポイント
- 1.ビードの数・ピッチなど、溶接の指示を細かく行う
- 2.ワークサイズを考慮して板厚を一定以上にする
- 3.タンク内の流動性を鑑みて、底面に傾斜をつけるなどの工夫を施す
>>詳細はこちら
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フレーム 板金加工
フレームの板金における設計のポイント
- 1.曲げ構造にてフレームを設計することで、コストダウン
- 2.強度を考慮した上で、部位毎に最適な加工方法を選択する
- 3.図面の展開は板金加工業者に委託する
>>詳細はこちら
