搬送機構向け精密板金加工を依頼する4つのポイント
投稿日:2026年08月27日
大型プリンターや複合機をはじめとする、搬送機構が含まれる製品の精密板金加工を依頼するなかで、
「搬送経路の部品に微妙な反りや歪みがあり、ワークがスムーズに通らない…」
「締結部のねじが紙粉の発生源になり、搬送不良を招くことがある…」
といったお悩みはございませんでしょうか?
上述の製品は、装置内部をワークが連続的に通過していく構造上、搬送経路に接する板金部品にはワークが触れる面の表面品質、搬送を支える寸法精度、部品を減らすための構造の工夫、そして防錆処理まで、考慮すべき点は多岐にわたります。
そこで今回は、搬送機構向けの精密板金を依頼する際の4つのポイントを解説します。
ポイント①:表面品質(傷対策)に複数の手段で対応できるメーカーを選ぶ
例えば、OA機器における搬送ガイドやシュートは、その表面を用紙が繰り返し擦りながら通過していきます。わずかな傷やバリがあるだけでも、用紙裏面への傷や、紙粉の噛み込みによる紙詰まりの原因になります。用紙がスムーズに通過するためには、搬送面をいかに滑らかに、傷なく仕上げるかが重要になります。
傷対策には、主に、ビニール養生(保護フィルム貼付)、バフ研磨、潤滑塗装・潤滑めっきといった方法があります。
これらは求められる摩擦特性・コスト・数量によって最適な手段が変わります。用途に応じて、対策を使い分けることができるメーカーを選ぶことが重要です。

ポイント②:細かな曲げに対応できるメーカーを選ぶ
組立工数や部品点数の削減、搬送の障害となりうるねじを減らす目的から、ねじを多用しない構造が採用されます。フックや爪、はめ込みで固定するこうした設計では、細かい曲げの精度が、組立性や勘合精度に影響します。
しかし、例えば下記の図1のような細かい曲げが必要な部品は、標準金型ではそもそも対応できないことがあります。

図1.OA機器用フレーム
金型が干渉したり、狙った箇所に刃が届かなかったりするためです。そのため、こうした細かい曲げに対応できる設備・体制があるメーカーを選ぶ必要があります。
ポイント③:大型部品は、溶接で対応できるメーカーを選ぶ
軸やスタッドなどを結合する際、本来はプレスで対応したい加工でも、製品の形状やサイズによってはプレスでは対応できない場合があります。その際に、溶接やかしめといった代替手段で対応できるかが重要です。
かしめは熱を加えずに機械的に固定するため変形や変色が生じにくい利点がありますが、加工機の構造上、対応できる寸法に制約があります。
例えば、搬送機構を有する大型のプリンター部品となる場合、かしめでは届かない、もしくは干渉するケースが発生します。プレス・溶接・かしめの複数の加工から、形状に応じて最適な結合方法を選べるメーカーであれば、大型・複雑形状の製品でも必要な強度と品質を確保できます。

ポイント④:切断面の防錆など細かな配慮ができるメーカーを選ぶ
搬送機構に採用される内部フレームやブラケットには、コストと防錆性のバランスに優れたSECC(電気亜鉛めっき鋼板)が広く使われます。SECCは、めっき層の亜鉛が鉄より先に腐食して素地を保護する「犠牲防食」により、高い防錆効果を発揮します。
ただし、レーザー切断やNCTで加工した切断端面は、めっきのない鉄素地が露出するため、そのままにしておくと、錆が発生し、搬送不良に直結することもあります。
したがって、依頼時には、上述のような細かな箇所まで配慮できるメーカーへ依頼することが、外観品質の向上やスムーズなワーク搬送につながります。
ちなみに当社では、上述の場合、切断端面へのタッチアップ塗装により、防錆塗装を施す対応を行っています。
搬送機構向けの納入事例のご紹介
当社の搬送機構向けの納入事例を一部ご紹介いたします。
事例①:大型プリンター用ヒート板

こちらは、大型プリンター用のヒート板です。表面には傷防止用の保護シートが貼られています。当社では、長尺の精密板金にも対応しており、どの部分においても均一な角度やRに致します。大物長尺ものでもキズなしで対応いたします。また、ナットの部分を、溶接によるナットの接着ではなく、圧力スペーサーによる取り付けにすることによって、加工工数やコスト削減につなげることが可能です。
事例②:大型プリンター底板

大型プリンターに使用されるSECC製底板の試作品です。
面積が大きいため、絞り加工をすると高額な金型費用と長いリードタイムがかかってしまいます。本製品のように絞り加工の製品が大きい場合には絞れない箇所については無理に絞らず、絞りが可能な箇所のみ絞り、その後溶接をするというような対応をすることで、金型製作費用を抑えた上で絞り加工をすることが出来ます。
事例③:搬送紙ガイド

こちらは、写真搬送装置内に取り付けられる搬送紙ガイドです。加工後のメッキ処理を行わず、表面の摩擦係数を下げるため、板材エンボス加工を施しております。またバフ研磨によって、表面の光沢を持たせています。表面の溶接痕を消し、摺動性を確保しております。
搬送機構向けの精密板金加工は、精密板金ひらめき.comまで!
今回は、搬送機構向けの精密板金を依頼する際のポイントについてお伝えしました。精密板金ひらめき.comを運営するCREST PRECISIONでは、搬送面の傷対策、細かい曲げ、プレス・溶接・かしめを使い分けた部品結合、端面の防錆まで含めて、品質の高い精密板金加工品をご提供しています。
また当社は豊富な新規試作実績によるノウハウがあり、設計段階からコストダウンや機能性向上のご提案も可能です。搬送機構を有する部品の精密板金加工でお困りのことがございましたら、お気軽に当社までご相談ください。
