精密板金設計 基礎のきそ : 技術勉強会のご案内
投稿日:2025年04月02日
精密板金設計は、図面作成だけでなく、材料選定、加工方法、組み立てやすさなど、幅広い知識と経験が求められる奥深い分野です。本記事では、これから板金設計を始める方向けに、設計プロセスにおける基本的な考え方から、よくある課題への対処法まで、重要なポイントを分かりやすく解説します。
精密板金設計の基礎
1.【接合方法】比較と選定のポイント
板金部品の接合方法は、製品の強度、耐久性、コストに大きく影響します。代表的な接合方法である溶接、リベット、ボルト締めについて、それぞれの特徴と選定ポイントを比較してみましょう。
- リベット :比較的容易に接合でき、異種金属の接合にも適している
- ボルト締め:分解・組み立てが容易で、メンテナンス性に優れている
- 溶接 :強度が高く気密性を確保しやすいですが、熱による変形に注意が必要
2.【材質選定】ステンレス・アルミの材料特性
2-1. 精密板金設計におけるステンレスとアルミの違い
ステンレスは、耐食性、耐熱性、意匠性に優れています。アルミは、軽量で加工性に優れ、放熱性も高いという特徴があります。
精密板金において、鉄・ステンレスからアルミへの材質変更を検討されたことはあるのではないでしょうか。鉄・ステンレスと比較すると、アルミは軽く、耐食性に優れているため、用途によってはアルミが最適なケースも多くあります。特に、近年では、軽量化の需要が非常に高まっており、高速で移動・駆動する機械や装置の部品など、アルミが重宝される場面も増加傾向にあるといえます。
2-2. 板金製品の設計者なら知っておくべきアルミニウムの性質
①【比重】軽い
アルミニウムの最大の特徴はなんといっても『軽さ』。
アルミニウムの比重は2.7g/c㎥であり、代表的な金属の比重と比較すると
・鉄 7.8 g/c㎥ ・銅 8.9 g/c㎥ ・チタン 4.5 g/c㎥
アルミニウムの比重が鉄・銅の1/3程度で、圧倒的に軽いことがわかります。
この『軽い』という特徴から
・燃費向上が求められる輸送機器
・省エネ化の求められる機械部品
・軽量化の求められる大型製品
にアルミは利用されています。
②【熱伝導性】熱がよく伝わる
③【強度】強い
2-3. ステンレス精密板金について
ステンレス精密板金は、高い強度と耐食性を両立する部品製造に不可欠です。設計においては、材料特性を考慮した展開、曲げR、溶接性、表面処理などを最適化する必要があります。特に、SUS304やSUS316など種類に応じた加工性やコストの違いを理解し、用途に合わせた材料選定が重要です。複雑な形状や微細な寸法精度が求められる場合、高度な設計技術とシミュレーションによる検証が不可欠となります。最終的な製品品質とコスト効率を高めるためには、設計段階からの綿密な検討が重要です。
ステンレスの材質について下記に詳しく解説しておりますのでご確認ください。
3.【塗装の方法】塗装の種類やコスト削減のポイントについて
3-1. 塗装の種類と特性(粉体塗装、溶剤塗装など)
板金製品の塗装は、外観の美しさだけでなく、耐食性や耐久性を向上させる重要な工程です。粉体塗装は、塗膜が厚く均一に仕上がり、耐食性や耐候性に優れています。溶剤塗装(メラミン塗装・アクリル塗装)は、色の種類が豊富で、複雑な形状にも対応しやすいという特徴があります。
塗装方法によっては、コスト・耐食性・外観性も大きく変わってきます。下図にて、各塗装ごとにコスト・屋外仕様 等、を比較して紹介しておりますので、ぜひご確認ください。
3-2. 塗装における設計上の考慮点(膜厚、エッジ処理など)
設計段階で塗装を考慮することで、高品質な仕上がりを実現できます。膜厚は、製品の使用環境に応じて適切に設定する必要があります。また、エッジ部分は塗膜が薄くなりがちなので、R処理などを施すことで、均一な塗膜を確保することが重要です。
3-3. 塗装によるコスト削減のポイント
鉄などの材質を使って精密板金の筐体製作する場合、防錆や外観向上を目的として塗装する場合が多くあります。この塗装をどのように行うかによっても大きくコストが左右されます。例えば、精密板金で製作した筐体の外側に加えて内部まで塗装するような「全面塗装」を行うと、単純に塗装工程が倍になり、コストが割高になります。
そこでどのように調整すればいいか、下記より詳しく解説いたします。
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