ホッパー・シュートの設計で押さえておくべきポイント
投稿日:2025年06月05日
ホッパー・シュートを設計する上で、製品・材料がスムーズに搬送できるかが重要になります。
「コンタミが発生してしまった…」
「残留物が残り、清掃が大変…」
といった事態を避けるために、設計者が押さえておくべきポイントがいくつかあります。
そこで今回は、「ホッパー・シュートの設計で押さえておくべきポイント」と題しまして、
「どんな点に注意して」「どんな加工で製作するべきか」などを当社の事例とともにご紹介いたします。
ポイント①:曲げ加工で溶接部を極力減らす
可能な限り溶接箇所を減らすことで、結合部の段差を無くし、溶接時の熱による製品の歪みを最小限に抑えることができます。その結果、製品の品質向上につながり、搬送物の残留を抑制できます。また、溶接個所を減らすことで、溶接工程を省くことができるため、最終的なコスト削減にもつながります。
溶接箇所を減らすためには、「曲げ加工」による一体構造を検討することが必要です。ホッパー・シュートは、通常、複数の部品構成が必要で、溶接を行う必要がありますが、1枚の板で曲げ加工を行うことで、溶接部を極力減らすことができます。但し、高精度な曲げ加工が求められるため、依頼時には注意が必要です。
ポイント②:溶接後の後工程を考慮した設計をする
上述のように、なるべく溶接部を減らした設計が理想ですが、実際には一体構造の設計が難しいことが多く、その場合は、接合部の段差を抑えた溶接が必要になります。
もちろん、高い溶接技術があれば問題はないですが、対策の一つとして、溶接後の後工程として、溶接部の仕上げ加工が必要です。ホッパーやシュートは製品・材料をスムーズに搬送するための構造や傾斜角度の設計が重要ですが、それと同時に仕上げ加工のための工具が入り、加工が十分にできるかを考慮した設計を行う必要があります。特に複雑形状の場合、例えば、ホッパーの底面やシュートの湾曲部など加工が難しい箇所については注意が必要です。
また溶接指示の際には、外観と強度をどの程度重視するのか、溶接範囲を板金加工会社にきっちりと伝えたうえで、作業者に一任するのがベストです。
ポイント③:400番ではなく、600番以上の仕上げ加工を行う
製品や工程に応じて、表面品質を決める必要があります。例えば、食品工場や製薬業界では搬送物が付着しにくく、清掃がしやすい製品づくりが求められるため、ホッパーやシュートの内面は極めて滑らかに仕上げる必要があります。
上記のように特に表面品質が求められる用途で使用する場合は、600番以上の仕上げ加工を検討する必要があります。表面仕上げについては、一般的に400番仕上げが標準とされていますが、600番以上の仕上げを施すことで、よりスムーズな材料の搬送ができ、コンタミの防止に繋がります。
当社のホッパー・シュート事例をご紹介!
当社では、お客様のご要望に沿ったホッパー・シュートの製作を行っております。下記にて当社の製作事例の一部をご紹介いたします。
事例①:曲げ加工+ねじれ加工による複雑形状のシュート事例
当社では、下記のような複雑形状の製作にも対応が可能です。
本製品では、ねじれ形状をつくるために、2つの側面と底面の3面を曲げ加工をした後に、ねじれ加工を施しています。このような製品を製作する場合、通常、複数の部品構成が必要ですが、本製品の製作にあたり、1枚の板での製作をしてほしいとの要望があったため、Rの内外で長さを調整をして加工をしております。
事例②:射出成形機用の円錐状ホッパーの製作
こちらは、射出成形機向けのホッパー(円錐状)の製作事例です。
円錐状のため分割箇所が多く、図面指示通りの形状を保つには、歪みを最小限に抑えた溶接や、ホッパー内に投入する材料の詰りにも考慮する必要がありました。溶接をすると、内面のつなぎ目の箇所に少し段差ができるため、溶接箇所の仕上げを行い納品しました。
事例③:結合部が滑らかなホッパー製作
当社では下記のような、結合部を滑らかにした製品製作を行っております。
このシュートは板厚1.5mmのSUS304を用いて、TIG溶接で製作したものです。
板厚も1.5㎜と薄いので溶接熱の影響を受け易いため、高い溶接技術が必要とされます。あえて、肉盛り形状にし、結合部分の段をなくすためにTIG溶接を採用しています。 内面は、引っかかりのない滑らかな仕上げ加工を施しています。
ホッパー・シュートに関するご相談は、精密板金ひらめき.comまで!
いかがでしょうか。今回の記事では、シュート・ホッパーを設計する上でのポイントについてご紹介をさせていただきました。
「こんな形状のホッパー・シュートの製作はできるだろうか?」とお考えの方はお気軽に当社にご相談ください。
精密板金ひらめき.comを運営するCREST PRECISIONでは、様々な業界向けの精密板金の設計・製作を手掛けてきた豊富な実績がございます。長年培ってきたノウハウをもとに、ご要望に合わせた高品質な製品をご提供いたします。