気密性・水密性を高めるアルミ溶接品の依頼時のポイント
投稿日:2026年04月17日
流体制御装置や真空装置といった防水が求められる板金加工品の設計において、
「削り出し部品を板金化してコストダウンしたいが、水漏れリスクが心配…」
「溶接ビードを削って仕上げると、そこから微小なクラックや漏れが発生してしまう…」
といった課題をお持ちではないでしょうか?
アルミは軽量で熱伝導性に優れる反面、熱歪みが発生しやすく、溶接時のブローホールや割れが起きやすいため、高い水密・気密性を確保した精密板金の加工には高度な技術が求められます。
そこで本記事では、水密性・気密性を高めるためのアルミ溶接のポイントを解説します。
気密性・水密性を高めるアルミ溶接の3つのポイント
高い密閉性が求められる製品では、設計上の工夫と溶接技術が品質に直結します。ここでは、押さえるべきポイントを3つ解説します。
ポイント①:仕上げレスを前提とした「逃がし」の構造
気密性・水密性を確保する上で、溶接ビードをグラインダー研磨などで仕上げる場合、強度の低下や微小なクラックによる漏れの原因となります。そのため、仕上げレスで成立する構造設計にすることが必要です。
構造上のポイントとしては、相手部品(蓋やブラケットなど、主にボルトとパッキンで締結する部品)と取り付け面に溶接ビードが干渉する場合は、設計段階であらかじめ相手部品側にビードを避けるための逃がしを設ける構造にすることです。
例えば、タンクの蓋をボルト締めする場合には、蓋の裏側の角にあらかじめ大きなC面取りを施すことで、蓋が溶接ビードに乗り上げることなく本体へ垂直に密着し、パッキンを均一に押し潰して確実な水密性を確保できます。
また、防水性が求められる筐体に取付ブラケットを固定する場合、ブラケットの角を斜めに切り落とすコーナーカットを入れたり、ビードが収まる逃がし穴をレーザー加工で設けることで、筐体表面との密着性を損なわずに固定することができます。
このように、仕上げレスでも問題ないような設計を心がけることが、気密性・水密性を高めるポイントです。
ポイント②:水漏れ不可の製品は板厚を2mm以上設ける
アルミは特性上、溶接を行うとクラックが入りやすいので、クラックが入らないように肉盛りを行いながら、切れ目なく連続で溶接を行うことが必要です。特に薄板の場合、熱での溶け落ちが発生し、密閉性が損なわれるため、一定以上の厚みが必要になります。
当社では、密閉性を担保するため、気密性・水密性が求められるアルミ製品においては、2mm以上の板厚を推奨しております。
ポイント③:アルミ溶接の技術力がある精密板金メーカーへ依頼
ここまでは設計上のポイントをお伝えしましたが、設計上のポイントを押さえると同時に、高い溶接技術を持つ精密板金メーカーへ依頼することが不可欠です。
その際に押さえるべきポイントの1つとして、例えば、開先を入れて溶接する際に溶接を止めずに一気に加工ができるかといった点があります。
板厚があるアルミ材をしっかりと溶け込ませて気密性を確保するには、接合部に開先(V字などの面取り)を入れた上で、溶接を止めずに一気に加工することで、溶け込み不足を防止し、溶接部の強度を向上させることができます。また高精度な溶接ができれば、肉盛り部もきれいに仕上がり綺麗な外観を得ることに繋がります。

図1. 溶接部の例
こうした溶接技術を持つ精密板金メーカーを見極めることが、最終的な製品品質を左右します。
アルミ溶接事例のご紹介
当社では、アルミ製のタンクやドレンパンなどの製作をよく手掛けますが、その殆どが「水漏れなきこと」「水漏れ不可」という注記がされており、気密性や水密性が必要な製品の実績が豊富です。下記にその事例の一部をご紹介いたします。
アルミ溶接加工品(TIG溶接)

こちらは、t=2.0mmのアルミ板をTIG溶接した製品になります。本製品は高精度な肉盛り溶接を行っているため、外観が非常に綺麗です。また、裏面にもしっかり溶け込みが出ているため、アルミであっても強度の高い溶接を歪みなく実現しています。
本事例のような高精度な肉盛り溶接加工や強度の高い溶接加工を行うには、熟練の技術が必要となります。
アルミの薄板溶接は、精密板金ひらめき.comまで!
ここまでは、仕上げレスを前提とした「逃がし構造」や、水漏れを防ぐための「板厚2mm以上の選定」といった設計上のポイントや、依頼先の見極めについてご紹介いたしました。
精密板金ひらめき.comを運営するCREST PRECISIONでは、設計者の皆様へ気密性・水密性を高めるご提案や品質の高い製品づくりを行うと同時に、水密性・気密性を担保するため実際に水を入れたり、あるいは石鹸水を塗ってエアーで圧力をかけたりするなどの検査を行っています。
気密性・水密性が必要な板金加工品、アルミ溶接品で何かお困りのことがございましたら、お気軽に当社までご相談ください。
