廃業によるサプライヤーの見直しに伴う、案件を進める上でのポイント
投稿日:2025年04月30日
ここ数年、板金加工業界においても廃業するサプライヤーが増えてきており、当社でも廃業に伴う新たな案件相談が増えてきています。廃業に伴った案件相談では、「試作をしてみたが既存製品と仕様が異なるといわれた」「既存製品と比較して品質が悪くなってしまった」などの事態が発生する可能性もあります。そうした事態を避けるためには、案件を進める上でのポイントやお客様が気になる点を押さえる必要があります。そこで、今回は「廃業によるサプライヤーの見直しに伴う、案件を進める上でのポイント」についてご紹介いたします。
廃業によるサプライヤーの見直しに伴う、案件を進める上でのポイント
取引先が廃業に伴って、新たなお客様から案件のご相談を頂くことが増えている今、下記ポイントを押さえることが重要です。
単発案件かリピート案件かによって仕様提案の仕方を変える
お客様からの依頼内容により、どこまで仕様をすり合わせればよいかの対応は異なります。特に、リピート見込みや量産案件で、複雑な形状の加工が求められる場合は、外観の仕上げまで含めた仕様について、工数・コストを考慮した上での提案が必要不可欠です。
また、企業ごとに製品展開の仕方が異なるため、その仕様に合わせた提案を行うことも必要です。
そのため、ただお客様の要望に合わせて図面・見積を提出するだけでなく、当社から仕様のすり合わせや新たなVAVE提案を行うことが求められます。
お客様は何を気にされるのか?
案件を進める上でのポイントとして、案件によって仕様提案の仕方が異なることをお伝えいたしました。そこで、具体的にお客様がどんな仕様を気にされるのかについて具体的にご紹介いたします。このポイントを押さえることで、「図面通りに製作したにもかかわらず、お客様の要望とは異なる仕様になっている」などの事態を防ぐことができます。
図面の中に表現されていない仕様・ノウハウがある
お客様が既存サプライヤーとの取引をしている中で、図面には記載されていないものの、”暗黙の了解”のように仕様が付加されていることがあります。これは、既存商流の中では、双方の認識があり、成立しますが、新たなサプライヤーに同様の依頼をしたときに、この図面に記載ない細かな仕様が反映されていないことが発生します。また表面処理方法などの記載がなく、どんな処理を施していたのかが分からないといった事態も発生します。
そのため、お客様から今まで通りの製品製作の希望があった場合には、過去に製作した現物を見て、図面に記載がない細かな仕様を確認することが必要です。
表面処理の色の違いについて
めっき処理などを施した後の色が、現物と異なるため、色を合わせてほしいとお客様から要望を頂くことがあります。表面処理による色の違いを合わせることは対応が難しいことも多いため、その場合は、塗装の切り替えや用途を伺った上での提案や説明を実施する必要があります。
当社のVAVE提案事例を一部ご紹介!
VAVE提案事例①:溶接から接着に変更し外観の向上とコストダウンを行う
ヘアライン加工のステンレス材カバーへの部品結合で、溶接時に変形・変色が発生し、それに伴い仕上げに手間がかかり、コスト増することがありました。そこで、溶接と同等以上の強度を持つ工業用接着剤を活用する「接着」に切り替えることで、装飾面の変形・変色が解消され、後工程が不要となり、高品質で均一な製品を効率的に製造できます。
VAVE提案事例②:目的とコストを勘案して表面処理方法を選択する
精密板金筐体の塗装において、全面塗装を行うと工程が増えることでコストが割高になります。そこで、鉄系の材質の精密板金を採用し、例えば、塗装指示を「内側吹き込み可」とすることで、簡易的なマスキング処理を行うだけで、外側塗装のみで済むため、コストダウンに繋がります。
VAVE提案事例③:スポット溶接を活用しコストダウンを行う
箱形状のものを使った精密板金加工を行なう場合、コの字を溶接するように設計すると、溶接の手間がかかる上、熱によってひずみが生じます。外観を重視する精密板金製品では、溶接の手間がかかる上に外観が損なわれてしまいます。そこで、上記のように曲げ加工を行なったものをスポット溶接することで、スポット溶接によってある程度強度も確保できる上、溶接の手間も軽減できます。
精密板金に関するサプライヤーをお探しの方は、精密板金ひらめき.comまで!
精密板金加工品は身の回りのあらゆる業界で使用されています。民生品だけではなく工業用途にも多く用いられており、工作機械業界・自動車業界・半導体業界、さらには食品業界や医療業界などでも使用されています。
精密板金ひらめき.comを運営するCREST PRECISIONでは、様々な業界向けの精密板金の設計・製作を手掛けてきた豊富な実績がございます。また、溶接やリベット等の最適な結合方法の検討や、求められる強度に考慮した材料・板厚の選定など、お客様のご要望に合わせたVA/VE提案も行っております。
今回の記事では、廃業に伴うサプライヤーの見直しに関してご紹介をさせていただきました。精密板金における設計・製作ができる企業をお探しの片は、お気軽に当社にご相談ください。